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美術に疎い私は、この「ピカソと並ぶ」とポスターに描かれた画家についてなんの前知識もなしに展覧会を見に行って、この画家の喚起力に唖然としたので、まずは他の人の言葉や意見を調べずに自分の言葉で感想をまとめたいと思う。
まず真っ先に思ったのは、気持ち悪いということ。あーきっと、この人はヨーロッパで第一次世界大戦を経験してる人なんだろうなという感じ。
ニュートラルにみようとすれば、絵画に時間を取り込もうとしている試みにもみえるし、構成主義的なものにも、印象派的なものにもみえるのだけど、ニュートラルにみたら意味なくなるんじゃないかな、というくらいドロドロとした感情にまみれたものだと思った。
そしてきっと彼は、この奇妙な形に折れ曲がり亡霊のような顔をした人を見たんだと思った。実際に。
第一次世界大戦中のヨーロッパ、死体が折り重なる風景。人間が身体を持つ個人であることを超えて、奇妙な形の物体となりうるということ。生々しく描かれた口元と消えた鼻。骨や肉が皮膚のすぐ内側にあるということ。溶ける肉と幾何学的に残る骨。
聖俗や貧富、性別を超えて、どんな人でもこうなり得るという残酷さを感じた。
その生々しい実感を非常に的確に表現しているのではないかと思う。そしてここまでのものにたどり着くまでにかなり試行錯誤があったんじゃないかと思う。
って、全然的外れかもしれないけど。
舞踏の土方さんのもつあの急遽の気持ち悪さも根本は非常に近いなと思っている。あんなもの、小難しい理論ではなくて身体に刻み込まれた記憶や経験からしか達成できない境地だと思う。直接的な経験ではなくてもいいのかもしれないけれど、肉迫したものがないと、あそこまでいけない。
さて、ちゃんとこれから勉強してみます。
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