おおきなつめ

死んだ人は大きな爪みたいになる
といったのは誰だっただろうか。


今日はパパのお葬式だった。
パパと言っても正式には叔父。
うちは叔父叔母をパパママと呼ぶように教育されていたので、パパは母の姉の旦那さんのこと。


パパは棺の中で色とりどりのお花に包まれていて、ほんとうにおおきなつめみたいだ、と思った。
言葉は認識を変える。
そんなフレーズをきいていなければわたしはお葬式の間じゅう、つめのことを考える事もなかっただろうに。


火葬場へ向かうマイクロバスにのりこんだら、
「りえちゃんは大変な時だからここまででいい。病院に早く行ってあげなさい。」
といわれる。なるほど。
バスの扉がしまる。
慌てて運転手さんにかけより、
「お先に失礼しまーす!」
と、バイトをあがる学生のような挨拶をし、その場を去る。


でも考えてみたら病院まで車で40分。私にはもちろん車はなく、大雨の中しばし呆然とする。
偶然目の前の信号で路線バスが止まったので、それに乗り込む。


窓の外には大雨と、その雨で氾濫した川。
雨の日の川はいいなー。と思う。
しかも目の前には私の大好きなバスの大きなフロントガラス(ワイパー付き)。
またバスに癒されてしまった。