ミセス・サプライズ/ナギプロ

nerie2007-12-01

自由が丘の「大塚文庫」にて。大塚文庫は大江宏設計の邸宅。
そのリビングで演劇を見る。リビングが舞台かつ客席という、いきなりおもしろいシチュエーション。
座布団に座って きょろきょろしていると、執事がやってくる。レコードの針を落として、音楽が流れる。
部屋の中に男女4人がやってくる。


細かいストーリまでは書かないけど、すごかった。
自分がいる世界がほんとなのか、この人たちのいる世界がほんとなのかわからなくなる。私がさっき歩いてきた道はほんとにいつもの自由が丘だったっけ?
簡単にジャンル分けするとミステリーの演劇だと思う。ただ、空間の読み込み方が恐ろしく研ぎすまされていて、実際どこまでがセットでどこまでが元々そこにあいてあったものかわからなかった(後から聞いたらセットは一つもなかったらしい)。空間のリテラシーが高いとはこういうことを言うんだろう。こういう人たちにかかったら、どんな空間も可能性を発見されてしまうんだろう。と、ちょっと頼もしく、ちょっと恐ろしい。


演劇って言う世界は奥が深い。映画とかドラマとか、宝塚とか歌舞伎とか、大きい舞台とか小劇場とか、私はほとんど知らないけど、とくに小さな演劇ってすごく面白い世界だと思う。人の日々の動作をつかって、私たちがいる方の世界じゃない方、あちら側の世界をみせてくれる。自分たちの日常の奥行きがぐっと広がる。建築でもこういうことをしたいなと思う。