仕事から帰る電車の中に、本を大声で読んでいる女性がいた。とっさに、リョウコさんか?!と、顔を確認する。

リョウコさんは、私が19だか20歳くらいの時にバイトしていた骨董通りの創作料理屋で一緒だったひと。ちなみに私はそのお店でかなり甘やかされていたんだけど(まかないがイクラ丼とか、フォアグラとか)その話はおいといて、リョウコさんはかなりの変人だった。歌手になるといっていて、いちどはカラオケで本気で歌ってくれたリョウコさん。

バイト上がりにみんなで焼き肉に行ったときなんて、たらふく食べてさあ帰ろうかという時に、リョウコさんはおもむろに余った肉を焼き始め、ペーパーナプキンに包んで鞄に入れた。さも当たり前のように。その後店長やら板長は帰ったものの、なんだか煮え切らないバイト女子4人で閉店後のお店に侵入し、ワインやら日本酒をがんがん飲んだ。リョウコさんは待ってましたとばかりにさっきのペーパーナプキンに包んだ肉をつまみに差し出してくれた。

もうだいぶん連絡もとってないし、そもそも連絡先も分からなくなってるんだけど、最近よく思いだしている。リョウコさん。