アートと音楽
偶然の奏でる音楽
プールの中にたくさんの陶器のボウルが浮かんでいる。大きさもまちまち。水の流れにのってプールのなかをぐるぐるまわるボウル。
時に他のボウルとぶつかって音をたてる。速いスピードでぶつかると大きい音、ゆっくりぶつかると小さい音。大きいボウルどうしだと低い音、小さいボウルだと高い音。
たくさんのボウルが同時にプールのなかをぐるぐるまわり、いろんな音がいろんなリズムで鳴り響く。
いつ聞いても似たような音楽なのだけど、たぶん、二度と同じ音楽は流れないんだろう。なんとなく日時のようだな、と思う。毎日同じようなリズムを同じようなビートで繰り返しているけれど、実は二度と同じことはできない。そして毎日とても計画的に動いている日でさえも、起こっている出来事は偶然でその場限りのものなんだな、と。
ずーっとみていても飽きない、すてきな作品だった。こういうのをみれてよかったなーと素直に思った。

もう一つ面白かったのは、氷でつくったレコード。レコードがどんどん溶けていくから、レコードの奏でる音楽もどんどん溶けていく。歌声だったものやメロディだったものが、どんどん聞き覚えのある雑音のようなものになっていく。

音楽というのは時間とどうにも切り離せないものだな、と気付いた。当たり前のことだけど、改めて。
絵のようにずーっと飾っておけない。建築のように、そこにあり続けられない。
音楽を奏でる者/物が、音楽を奏でている間しかそこに存在しない。

アートと音楽 ──新たな共感覚をもとめて

アートと音楽 ──新たな共感覚をもとめて