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アートと音楽
偶然の奏でる音楽
プールの中にたくさんの陶器のボウルが浮かんでいる。大きさもまちまち。水の流れにのってプールのなかをぐるぐるまわるボウル。
時に他のボウルとぶつかって音をたてる。速いスピードでぶつかると大きい音、ゆっくりぶつかると小さい音。大きいボウルどうしだと低い音、小さいボウルだと高い音。
たくさんのボウルが同時にプールのなかをぐるぐるまわり、いろんな音がいろんなリズムで鳴り響く。
いつ聞いても似たような音楽なのだけど、たぶん、二度と同じ音楽は流れないんだろう。なんとなく日時のようだな、と思う。毎日同じようなリズムを同じようなビートで繰り返しているけれど、実は二度と同じことはできない。そして毎日とても計画的に動いている日でさえも、起こっている出来事は偶然でその場限りのものなんだな、と。
ずーっとみていても飽きない、すてきな作品だった。こういうのをみれてよかったなーと素直に思った。
もう一つ面白かったのは、氷でつくったレコード。レコードがどんどん溶けていくから、レコードの奏でる音楽もどんどん溶けていく。歌声だったものやメロディだったものが、どんどん聞き覚えのある雑音のようなものになっていく。
音楽というのは時間とどうにも切り離せないものだな、と気付いた。当たり前のことだけど、改めて。
絵のようにずーっと飾っておけない。建築のように、そこにあり続けられない。
音楽を奏でる者/物が、音楽を奏でている間しかそこに存在しない。
- 作者: 坂本龍一,岡田温司,池上高志,若尾裕,眞壁宏幹,畠中実,長谷川祐子,東京都現代美術館
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2012/11/03
- メディア: 単行本
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